推薦図書の紹介を行うページです。読書の参考としてご活用ください。
ディベートに関連する書籍はこちらをご参照ください。

(2020年5月4日現在)
新型コロナウイルス感染により、不要不急の外出の自粛要請がされております。図書の購入には下記ネットサイトを使用しての注文や電子書籍のダウンロードなどを活用して入手することを推奨致します。

 (2020年5月7日)
第二弾で推薦図書を追加発表いたしました。

(2020年5月27日)
第三弾で推薦図書を追加発表いたしました。

(2020年7月28日)
第四弾で推薦図書を追加発表いたしました

推薦者:藤川 大祐(理事長)

【中学/高校】
・推薦図書:「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ
・著者: 谷岡一郎
・コメント:
少し古い本ですが、新聞記事などによく掲載されている調査データの「ウソ」を見抜く力を授けてくれる本です。証拠資料をよく吟味する能力を高めるのに最適です。同じ著者の他の本もおすすめです。
・出版社:文春新書

推薦者:田中 時光(NADE常任理事)

【中学】
・推薦図書:三国志/正史三国志
・著者: 吉川英治/陳寿
・コメント:
ディベート業界でもファンが多く、冒険、兄弟・師弟愛、権謀術数、盛者必衰…様々な角度で楽しむことが出来ます。一方で、 ディベートの分析(証拠資料同士の比較)にも通じますが、見方(本の性質)が変われば描き方がこうも違うのか、ということを教えてくれる内容となっておりますのでぜひ両者を比較しながら読んでみてください。
・出版:講談社/ちくま学芸文庫

【高校】
・推薦図書:はじめてのファシリテーション―実践者が語る手法と事例
・著者:鈴木康久・嘉村賢州・谷口知弘
・コメント:
ディベートの大半は「準備」が占め、特にチームメートとの意見交換・アイデア出しが重要になります。本書は意見交換・アイデア出しの手法が学べるだけではなく、その手法を通して地域や社会の未来創造や課題解決にどのように貢献できるかを知ることが出来る一冊です。ディベートで培うスキルをどのように「変換」すれば自分自身の未来を切り開くことが出来るかを考える一つのきっかけとしてぜひお読みください。
・出版:昭和堂

推薦者:佐々木 聡(常任理事 事務局長)

【高校】
・推薦図書:自由からの逃走
・著者: エーリッヒ・フロム
・コメント:
政策ディベートで証拠資料を引用するとき科学的根拠はとても大事だけれど、それをどう評価するかは人間の価値観なので、科学的・論理的に考えるだけでなく、人間性そのものをどう考えるか、その自分なりの価値観を養ってほしい。だからこそディベートの判定をするのはジャッジという人間なのだと。
・出版社:東京創元社

推薦者:佐々木 智之(NADE北海道支部長)

【中学】
・推薦図書:スラムダンク/スラムダンクの勝利学
・著者: ‎井上雄彦/辻秀一
・コメント:
自分が、勝つためにどうすればいいのか捉えあぐんでいた平成13年頃、 中途半端なビジネス書を読んでも筆者の個人的経験談でしかないと気づき、 あえてスポーツの世界に勝利の哲学を求めたことがありました。バスケットで 北海道の公立中学校から全道、全国大会に行った同僚と話したとき、 「僕は何十回となく読みました」と聞いて読みました。 彼に借りてスラムダンクを読むのと並行して読んだのが、 「スラムダンク勝利学」集英社インターナショナル辻修一著です。 初版2000年の本ですので、もう20年前ですから古本市場でないと手に入らない かもしれません。しかし、ディベーターも指導者もこれを読むとアドレナリンの 分泌が高まること請け合いです。
・出版社:集英社/集英社インターナショナル

【高校】
・推薦図書:嫌われる勇気
・著者:岸見一郎・古賀史健
・コメント:
内容は、一貫して若者と青年のやりとりです。 ディベートそのものに直結する内容ではありません。これを読んだから反駁ができる、というわけでもありません。 しかし、日ごろ、厳密なルールと時間管理の中で政策論題を議論しているディベーターーにこそ、明確なルールがなく 論点も転々とする青年と哲人のやりとりを読んでほしいです。それによって「文脈」を意識する経験ができます。
・出版:ダイヤモンド社

推薦者:宮城 信(NADE北陸支部長)

【中学】
・推薦図書:地団駄は島根で踏め 行って・見て・触れる《語源の旅》
・著者:わぐりたかし
・コメント:本書は、「語源ハンターわぐりたかし」が、日本各地を廻って諺(ことわざ)の語源を明らかにするという内容である。諺に興味を持つ生徒の皆さんは多いはずである。著者は読者に代わって語源となる現物にまでたどり着くのである。ネットで調べるだけでなく、時間をかけて足で稼いでいく著者の姿勢には学ぶところが多い。 「地団駄を踏む」「つつがなく」などよく耳にするが、語源となるとちょっと思いつかない語が取り上げられている。一例を挙げると、「チンタラするな」のチンタラっ何?実は、焼酎の伝統的な蒸留法がもとになっているのである(「油を売る」の語源が思い起こされる、考えることは皆同じということか)。
・出版社:光文社新書

【高校】
・推薦図書:論文捏造
・著者:村松透
・コメント:本書はNHK特番「史上空前の論文捏造」の書籍化で、2000年代に起こった史上最大の論文捏造事件の顛末を記したドキュメンタリーである(なんと当事者はノーベル賞候補にまで挙げられていた)。超一流の研究者たちがこの不正を見抜けなかったのは何故か(STAP細胞事件が思い起こされる)、著者は事件後に100名以上の関係者にインタヴューして事実を明らかにしている。このような調査の姿勢にも学びたいものである。
論文捏造などの不正は我々にとっても無関係な問題ではない。日本においても、東大、京大など一流大学でさえ不正や捏造が社会問題化している。本書を通して、不正を犯してしまった者がどのように泥沼にはまっていってしまったのか、この機会に学んでおくと良い。
・出版社:中公新書ラクレ

推薦者:吉田 あけみ(NADE東海支部長)

【中学】
・推薦図書:未来へ向かって自分らしく生きる
・著者:吉田あけみ・水野一哉
・コメント:
愛知県小牧市教育委員会が中学生向けに作成した男女共同参画を考えるための冊子です。男女平等のみならず、ダイバーシティについて考えたり、自分のキャリアについて考えることのできる冊子です。未来の担い手は皆さんたちです。ディベートなどを楽しみながら、未来の社会について多角的な視点で考えてください。名古屋市が作成した中学生向け男女平等参画教育資料「男女平等…」もあります。こちらも併せてご覧ください。
・出版社:小牧市教育委員会学び創造館

【高校】
・推薦図書:ライフスタイルからみたキャリア・デザイン
・著者:吉田あけみ
・コメント:
現代社会における日々の暮らしは選択の連続です。自分が納得できる選択をしていくためには、自分のキャリアをデザインすることが大切です。選択肢には、社会的な制約があります。しかし人はその社会を変えていくこともできます。納得のできる選択をし、社会を変革していくためには、情報収集・情報理解が必要です。ディベートなどを楽しみながら、情報収集力を高めましょう。この本には、人生キャリアを考えるための一助となるような情報が社会学・教育学・経済学・社会福祉学などの視点から提示されています。
・出版社:ミネルヴァ書房

推薦者:坂田 好保(NADE中国・四国支部長)

【中学】
・推薦図書:中学生からの大学講義シリーズ(全5冊)/続・中学生からの大学講義シリーズ(全3冊)
・著者: 桐光学園+ちくまプリマー新書編集部
・コメント:
神奈川県の桐光学園で行なわれている「大学訪問授業」の一部を書籍化した新書です。 別に8冊を読もうと言いたいわけではありません。筑摩書房のHPに目次が出ているので、それを参考に読みたい本、読みたい部分を選んで読んでもらえればと思います。中学生としてあまり考えたことのないものを読んで考えてみるということが、ディベートのような社会問題について考えるということにつながるのではと思います。
・出版:筑摩書房(ちくまプリマー新書)

【高校】
・推薦図書:ロジカル・リーディング 三角ロジックで英語がすんなり読める
・著者:横山雅彦
・コメント:
英語を読んでいく際に、トゥールミン・モデル(聞いたことありますか?)に基づいて読んでいくと英語を読む際に読みやすくなる、という主旨の本です。大学受験や資格検定試験などにも汎用されるだろうと思います。論理構成の考え方については、ディベートでもぜひ知っておいて欲しいですし、それが普段の学習にも活きるという良い見本です。
・出版:大和書房

推薦者:大賀 哲(NADE九州支部長)

【中学】
・推薦図書:はじめよう、ロジカル・ライティング
・著者:名古屋大学教育学部附属中学校・高等学校国語科・戸田山 和久
・コメント:
本書は論理的な文章を「書くこと」に徹底的にこだわった本です。自分の意見を論理的に相手に伝える「意見文」を書くためのスキルを解説するとともに、書いて身につけるという実践を重視した内容となっています。丁寧な説明と例題、練習問題や課題集など基礎から応用まで幅広い文章を網羅しています。意見やデータを扱いながら自説を展開する方法、引用の仕方や意見文構成シートも収録されており、根拠やデータに基づきながら自己の意見を展開するというディベートに不可欠なスキルが本書には詰まっています。
・出版社:ひつじ書房

【高校】
・推薦図書:高校生のための税金入門
・著者:小塚真啓
・コメント:
私たちはみんな税金を払っています。学校や警察、病院など私たちの生活に不可欠な公共サービスは、私たち全員が支払った税金で賄われています。税金がなければ政策を実行することはできません。しかし、税金の集め方、使い方に唯一の正解はありません。年齢や職業、住んでる場所が違えば税金についての考え方も異なります。国会や選挙で、税制度が争点となることも珍しくありません。税金について論じることは政策を論じることなのです。ディベート課題など付録も充実した高校生向けの税金入門です。
・出版社:三省堂

推薦者:笠井 千香子(NADE理事)

【中学】
・推薦図書:2020年6月30日にまたここで会おう
・著者:瀧本哲史
・コメント:
中学生にぜひ読んで欲しい本です。色々な本を読んでディベートをしてみましょう。
23頁より引用「あと大事なのは、本を読むだけではあんまり意味がないということです。よく本を読んで「感動した!」とか言って、明日になると完全に忘れて元の生活のままって人、すごい多いじゃないですか。それはぜんぜん意味がないと思うので、実際に本を読んでどれくらいの人が行動を起こしたかということを、常にベンチマークとしています。」。
・出版社:星海社新書

【高校】
・推薦図書:調査と情報-Issue Brief-
・著者:国立国会図書館 調査及び立法考査局 職員
・コメント:
国立国会図書館の資料がインターネットで利用できます。国会図書館の説明を引用すると「時々の国政上の課題に関する簡潔な解説シリーズです。ひとつの号にひとつのテーマを取り上げ、原則として10ページ以内にまとめています。平成15(2003)年1月以降刊行分を掲載しています。」とあります。手始めに、過去の論題のキーワードを入力してみてください。次は、興味関心のあるキーワードで探してみましょう。ぜひ、活用してください。
・出版:国立国会図書館

推薦者:竹久 真也(NADE理事)

【中学】
・推薦図書:急に具合が悪くなる
・著者: 宮野真生子・磯野真穂
・コメント:
「〇〇の病気で死亡する確率はN%」など、ディベートや私たちの人生では様々な確率を扱います。しかし、統計的にまとめられた「N%」がいざ我が身にふりかかれば、見える景色が大きく変わってくるものです。本書は癌を患った哲学者と文化人類学者の往復書簡という形式で、匿名でまとめられた確率とまさに存在する個人との鬩ぎ合いが描かれます。自分の人生が不確実なことに満ちていること、そしてその中で他人と関わるということについて考えてみたい方に薦めたい一冊です。
・出版:晶文社

【高校】
・推薦図書:経済史 — いまを知り,未来を生きるために
・著者:小野塚知二
・コメント:
いま当たり前に感じている価値観、当然のように存在している制度、そうしたものは全て人間が長い営みの中で作り上げてきたものです。前近代〜現代までの歴史を経済という視点で眺めながら、慣れ親しんだ価値観や制度が出来上がっていく姿や、驚くほど現在に似た過去の状況が存在することを知ることができる本書は、副題のとおり「いまを知り,未来を生きるために」読むべき一冊でしょう。
・出版:有斐閣

推薦者:渡辺 徹(NADE監事)

【中学】
・推薦図書:民主主義という不思議な仕組み
・著者: 佐々木毅
・コメント:
ある意味でディベート甲子園という大会は、教室ディベートの実践を通じて「公の議論」の技術と文化を、私たちの社会に広げていこうとして実行されているプロジェクトです。
一方で私たちは、一人一人が世論の担い手であるいうことは確かです。且つまた、民主主義は「『世論の支配』とほとんど同じ意味で考えられてきました」。
この本を通じて、公の議論、世論、そして、より良き社会に近づいていくための「可能性の術」としての民主主義的な政治、その三者の関係を理解できるようになるでしょう。説明と文体は平易ですので、中学生の皆さんにもチャレンジとしてお読みいただきたいと思います。
著者の想いは、この本の「おわりに ~ 二十一世紀型社会を模索して」(p.169-)に凝縮されています。ここだけでも一読することを強くお勧めします。21世紀の日本と世界を創る若い世代に対する、著者の期待を感じ取って頂ければと思います。
・出版社:ちくまプリマー文庫

【高校】
・推薦図書:いま世界の哲学者が考えていること
・著者:岡本裕一朗
・コメント:
メリット・デメリットにおける「重要性」とは、プランによってもたらされる将来が「好ましいか」あるいは「好ましくないか」を問うものです。されば、強い重要性の議論を構築したいならば、どのような社会を「良い」と考えるのかという「哲学」について、深い理解を得ておくことが肝要です。
この本は、人工知能、遺伝子工学、格差社会、テロの脅威、フィンテック、宗教対立、環境破壊など、そう簡単には解決できそうもない現代的な社会課題に関して、そういった変化がもたらす将来が何を意味するのか、その基本的な考え方を紹介・示唆してくれます。個別の課題についてさらに深く学びたい方は、各章末のブックガイドを参照されるのが良いでしょう。
実は私はこれまで、上記のような現代の社会課題についての論題(motion/モーションと呼ばれます)が頻出される英語の即興型ディベートに取り組む人向けに、この本をお勧めしてきたのですが、この際、ディベート甲子園に取り組んできた高校生の皆さんにも、社会課題についての視野を広げるという意味で、お勧めします。
・出版:ダイヤモンド社

推薦者:榊原 陽介(NADE論題検討委員)

【中学】
・推薦図書:ファクトチェックとは何か
・著者: 立岩陽一郎・楊井人文
・コメント:
2019年ディベート甲子園の高校論題では「フェイクニュース」が取り上げられました。皆さんもインターネットやSNSを通して、真偽の怪しい情報に接した経験が一度はあるのではないでしょうか。その対抗手段のひとつとして注目されているのがこの本で扱っている「ファクトチェック」です。一通りの内容がコンパクトにまとまっており、はじめて競技ディベートに関心を持ってくださった中学生の方にも読みやすいと思います。
・出版:岩波ブックレット

【高校】
・推薦図書:教養としての社会保障
・著者:香取照幸
・コメント:
日本の社会保障制度やその意義、問題点について包括的にまとめられています。 ディベート甲子園で扱われるような論題も含め、多くの社会問題は、社会保障制度の在り方と切り離して考えることはできません。この本は、少なくない情報量を持ちながらも、初学者であっても読みやすい丁寧な説明と比較的平易な表現によって構成されており、様々な社会問題について考える際の背景知識を得るのに適していると思います。
・出版:東洋経済新報社

推薦者:村上 彰慶(NADE東海支部事務局)

【中学】
・推薦図書:図書館で調べる
・著者: 高田高史
・コメント:
ディベートには様々な形がありますが、ディベート甲子園では、事前に論題が発表され十分なリサーチをして試合に臨むいわゆる準備型が採用されています。よって、準備の仕方を意識することが重要ですが、なんとなく論題や論題解説、試合をみて思いついた単語を検索ボックスに入力しているだけというディベーターもいるのではないでしょうか。しかし、それでは核心を突いた議論を展開するのは難しく、早晩準備に行き詰まってしまいます。その際によく周りを見渡してみると、学校や近所には図書館という存在があることに気付きます。図書館には、たくさんの書籍があり、リサーチのアドバイスを頂ける司書さんもいます。この本は、図書館司書をしている著者が、その経験をふまえて書いたもので、図書館を利用した調べ方が、豊富な具体例とともに大変分かりやすく書かれています。ネットが普及した現在、図書館をほとんど利用していない生徒も多いかと思いますが、一度この本を読んで頂き、論題が発表された後でどのように準備をしていくか考えてみてはどうでしょうか?
・出版:ちくまプリマー新書

【高校】
・推薦図書:リサーチの技法
・著者:ウェイン・C・ブース、グレゴリー・G・コロンブ、ジョセフ・M・ウィリアムズ、ジョセフ・ビズアップ、ウィリアム・T・フィッツジェラルド
・コメント:
論題が発表されたら、どのように準備をしていますか?おそらく、ネットでの検索を中心に行い、必要に応じて書籍や雑誌論文を読んだ後に、練習試合に臨み議論を修正し、大会に出場しているかと思います。もちろん、ディベートに取り組むことで、特段意識しなくても、よいリサーチャーになることはできます。しかし、指導者がいない中で適当に取り組んでいると、リサーチの手法が、効率が悪いものや、独善的なものになってしまいがちです。今回推薦する本は、アメリカの大学で論文執筆を学ぶ学生のために書かれたもので、『…●読者が「主張」を真剣に受け止めてくれる「議論」を構築する方法 ●見識はあるが批判的な読者の懸念事項を予測し、それに対して適切に答える方法…』について『できうる限り具体的に説明し』ています。そのため、ディベートに取り組む際はもちろん、大学や社会人になっても参考になるものとなっています。高校生には少し難しいですが、比較的ゆとりがある時期に一読しておき、大会の準備で行き詰まった際に、本棚から取り出すのをお勧めします。
・出版:ソシム

推薦者:佐久間 弘明さん(ジャッジ/CoDA理事)

【中学】
・推薦図書:ロボット
・著者: カレル・チャペック
・コメント:
人が作った「技術」や「社会の仕組み」は、目的がどんなに大切なことだったとしても、逆に一部の人を苦しめるなどの意図せざる結果を生むことがあります。皆さんが取り組む「政治制度の変更」や「規制の是非」といったディベートの論題も、そうした副作用を検証するものです。  「ロボット」という言葉を世界で最初に使ったチャペックの戯曲は、人造人間が人に銃を向けるという未来の物語です。100年前に書かれたとは思えないリアリティを持つこの作品で、想像力を広げてみるのはいかがでしょうか。
・出版:岩波文庫

【高校】
・推薦図書:自動車の社会的費用
・著者:宇沢弘文
・コメント:
新しい技術が生まれ普及していくとき、必ず何かしらのメリットとデメリットが生まれます。しかし、それらを単純な量で比べるだけでは議論は終わりません。社会が新技術と向き合うにあたり、利益と不利益が人々に正しく配分されているか、人の権利は守られているかといった「公正さ」の議論は不可欠です。 この本ではそうした公正さについて、高度成長期に普及した「自動車」という技術を題材に考え抜きます。より広く、深い議論を作りたい方の、ちょっと背伸びした読書にオススメです。
・出版:岩波新書

推薦者:中島 有希大さん(ジャッジ/横浜国立大学 非常勤講師)

【中学】
・推薦図書:知的複眼思考 誰でも持っている創造力のスイッチ
・著者: 刈谷剛彦
・コメント:
ディベートでは論題を導入した後に、どのような変化が起きるのかを自分の頭で考え、証拠資料を集め、議論をする必要があります。さて、どのようにすれば自分の頭で考えたり、多角的に物事を捉えたりできるのでしょうか。その方法を具体的な例と共に示してくれている一冊です。ディベートについての記述はやや貧弱ですが、それ以外の部分を含めれば、ぜひ中学生ディベーターにチャレンジしてほしい一冊です。
・出版:講談社

【高校】
・推薦図書:原因を推論する
・著者:久米郁夫
・コメント:
ディベート甲子園では、論題導入後にどのような利益不利益があるのかを論争します。換言すれば、論題の導入を原因としてどのような結果が導き出されるのかを検討します。この原因と結果の関係はどのような条件が揃えば成立すると考えられるでしょうか。因果推論の”古典的な”捉え方を政治学の具体的な議論と共に説明した一冊が久米郁夫著『原因を推論する』です。今考えている主張は論題の導入を原因として成立することなのかをぜひもう一度考え直してみてください。
・出版:有斐閣

推薦者:久島 玲さん(ジャッジ/JDA理事)

【中学】
・推薦図書:かがみの孤城
・著者: 辻村深月
・コメント:
ある日、部屋の鏡が光って始まる異世界ファンタジー。ただそれとしても十分に面白いこの物語は、他者から不当な思い込みを押し付けられること、時として自分もそうしてしまうこと、その辛さを抱えながらも生きることについて、考える機会をくれます。あるいは、学校の教室空間に窮屈さを覚える人にとって、救いになることもあるかもしれません。例年3~400点とれば大賞となる「本屋大賞」で、歴代唯一の600超という抜群で大賞に輝いたのは伊達ではありませんでした。時間のある人には、ちょっと長いですが、近いテーマを似た設定で扱ったデビュー作『冷たい校舎の時は止まる』も、登場人物の内面が深堀りされていてお薦めです。
・出版:ポプラ社

【高校】
・推薦図書:子どもと話す 言葉ってなに?
・著者:影浦峡
・コメント:
言葉は私たちの生活と切り離せません。本書は、そもそも言葉とは何か、言葉で相手に何かを伝えようとするとはどういうことなのか、「ネイティブのように」といった言説で英語教育が推し進められるときにそこでは何が語られているのか、など多岐にわたる問題について、著者と姪との会話という形でわかりやすく語っています。 はじめに書いたように、誰にとっても避けられない話なのですが、言葉を扱うディベートという営みに関心を持つ皆さんには殊にお薦めしておきます。興味のある人は、著者の「言葉は人の外側にある。」「言葉とコミュニケーション」等の他の論考もご覧ください。
・出版:現代企画室

推薦者:久保 健治さん(ジャッジ/CoDA専務理事)

【中学】
・推薦図書:「功利主義入門―はじめての倫理学」
・著者: 児玉聡
・コメント:
政策の背景には、明示的でなくても、社会はかくあるべきという規範があります。ですが、目の前にあるメリット、デメリットに目を奪われると、規範に無自覚になってしまう事が多々あります。本書は功利主義を題材にして、自分が身につけてきた考え方について改めてその根拠を考えたり、正確な意味を問う思考法について紹介されています。今年は大会がないからこそ、今まで実践してきたディベートの論題や議論の裏側にある規範について明示的に考えてみましょう。ディベートでの議論が予想以上に現実社会とリンクしていることに気付けるはずです。
・出版:筑摩書房

【高校】
・推薦図書:「椿井文書―日本最大級の偽文書」
・著者:馬部隆弘
・コメント:
ディベートでは資料の扱い方を学びますが、あまりやらない資料への向き合い方があります。それは、「そもそもこの資料は嘘なんじゃないか」という検証です。この資料自体を検証する事は、歴史学では「史料批判」と言われます。本書は学校教材や市町村史にも活用されてきた数百点にわたる歴史的史料が実はたった1人によって創作されていたという全貌に迫った本です。空想の歴史が「かくあってほしい」という人々の思いによって「真実」になっていく様子は、資料と向き合う姿勢について多くの学びがあると思います。
・出版:中公新書

注意

※内容確認のために、電子書店サイトのリンクを付けておりますが、当該サイトでの購入を推奨するものではありません。

(参考)ネット書籍注文サイト、電子書籍購入サイト

Amazon   https://www.amazon.co.jp
紀伊国屋書店Webストア https://www.kinokuniya.co.jp/
Googleプレイブックス https://play.google.com/store/books
Honto  https://honto.jp/ebook.html
Apple   Books https://www.apple.com/jp/apple-books/

電子書店、電子書籍での購入は代金引換やクレジットカードの購入が必要な場合があります、購入の際にはご両親にご相談下さい。また、お近くの書店でもネットや電話で注文が可能なところも多々ありますので、そちらにもお問い合わせください。 電子書店、電子書籍のご利用は自己責任でお願いいたします。